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ヒュドラの誕生
ヒュドラのは、テュポンとエキドナの間に生まれた名のない怪物であった。
ヒュドラという呼び名はもともと「水蛇」を意味する名詞であったが、怪物自身の名がないため、いつしかヒュドラが怪物を示す言葉になってしまったのである。
生まれたヒュドラは、アルゴスと言う国のレルナの沼地に棲み、ゼウスの妻ヘラに育てられた。
このレルナの沼は底無しで、地中の深くに冥界がある。ヒュドラはエキドナの子であるケルベロスと共に、冥府の番人である。
姿もまた、人々を震えさせる恐ろしさを漲らしている。巨大な胴体にはいくつもの頭がある。その数は伝説によって一定ではなく、3つ、5つ、9つ、12、果ては百もの頭が鎌首をくねらせていたと謡う話もある。
中央にある1つは不死で、これを切ってもヒュドラは死ぬことはない。また、残りの頭は切れば死ぬが、中央の頭は切ると2つに増える。プラナリアみたいな奴だ。
まさにヒュドラは、英雄ヘラクレスにとって、最も手強い敵であったのである。
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