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叶「……そ……じゃ、行こ。」
七「あ、はいぃ、でも、高原さん、行きたくない、って…感じ、でしたけど…」
叶「別に…日暮そのまま一人で行かせるのやだから。」
七「へへ…すみ、ません。じゃあ、こっち、です。」
ぶっきらぼうに答えた叶を見つめながら七海は嬉しそうに頬を緩めて笑い叶の手を握る。当然、叶は女だから手は小さい。
その手を握ったまま、特別室へと向かいながら七海はまた話し出した。
七「高原、さん、手が、小さい、です、ね。それに、なんだか、柔ら、かい。」
その言葉に唇を結び何も答えない叶は俯き困ったように頭を掻き、そして話を変えようと口を開いた。
叶「日暮、苦しいならそんなに続けて喋らない。さっきよりも区切り増えてる。」
大きく丸い七海の目を見つめながらはっきり、だが優しく七海に言うと、七海は驚いた表情を浮かべ、それから頷いて無言で、また歩き出した。
初対面で、凄いな………今まで皆は馬鹿にしてきたけど、高原さんは違うんだ……
それが嬉しくて、七海は終始笑顔を浮かべたまま、叶は無表情のまま。特別室に着いた。
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