優しくない雨

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「オッス!」 「オッス。えへへ」 ここ最近、会えなかった。もう、すぐに会えなくなるのに…。かえって会えないもんだ。 「最近、忙しい貴方にカオリ特製弁当です」 「おう、ありがとさん。後で頂くよ」 時刻は零時を回る。月明かりの夜。 「今後さぁ。修学旅行に行くんだ」 「この時季にかぁ?ずいぶん中途半端だな」 「前に暴行事件あって旅行がパー。だけど、旅行やりたい生徒が多くて結局やることなったんだ」 そうなんだ。 「で!じゃーん」 使い捨てカメラを持ってた。 「ずいぶんレトロなもんを。ケータイあんじゃん」 「良いじゃん。この時代錯誤感が!良いから撮ろうよ」 ベンチに座って手を伸ばしてカメラをこっち向ける。肩をくっつけてカシャリとシャッター音。 「うーん、自分で撮るの難しいね」 「案外不便なもんだな。貸してみ」 再び手を伸ばしてカメラを向ける。うーん案外難しい。 「はい!チーズ」 カシャリ 「ヒサシ古いよそれ。いつの人?」 「うっさい」 立ち上がり。 「そろそろバイト戻るわ」 「うん。行ってらっしゃい」 カメラを渡して、手を振った。
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