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「カオリは君が余命半年未満だったこと母子家庭のことも話をした時は、私も悩んだよ。でも、堕ろせと言えなかった」
いつのまにか笑みは消え真面目な顔になっていた。
「子供が生まれてもお父さんがいない辛さが君にもわかるだろ」
確かに学校で父さんがいないことでいじめられた。だけど、その度カオリが助けてくれた。
「昔、母さんに父さんのこと聞いたんだ。俺みたいに体弱くて、俺が生まれる前日に亡くなったんだ」
父さんは最後まで生まれてくる俺と母さんに謝っていたらしい。
「そうか。悲しいこと思い出させてすまなかった」
「いえ、気にしてないです」
煙草を消して。
「すまない。カオリから口止されているんだが…実は君の子供じゃないんだ」
あーやっぱり。
「知ってます。確信は持てなかったけど」
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