優しくない雨

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「こちらにどーぞ。あ、私は『命の商人』社員の山崎誓です。こちらが社長の相楽命です」 突然の来客にドキドキしながら、営業スマイルをする私。 「どうも、俺が相楽命です」 と、そっけなく答えるミコト。ズズズーっとお茶を飲みながら新聞を眺めている。 「あはは…。すみませんこちらに座って待っててください」 「あ、すみません」 恐縮しながらソファーに座るのをみてお茶菓子を取りに台所に行った。 「では、お名前と年齢と要件を教えてください」 暗い室内。典型的な応接室を兼ねた社内(どっかの探偵物の間取りを思い出す)で営業スマイルなんかを見せるのでしたまる。 「あ、はい。天野永…歳は18才要件は命を一年買いにきました」 アマノヒサシさんと名乗るこの男性は命一年買い取りにきた…っと慣れた手付きで紙に書いた。 「で…どうして買いにきたの?」 今まで黙って聞いてたミコトが急に話しかけた。
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