優しくない雨

23/35
前へ
/74ページ
次へ
「おう!娘ちゃん。元気してっか?」 「あ、ジィさん。久しぶりー。何、指でもツメに来たのー」 お昼過ぎの来客者は珍しい人でした。 「…でよぉ、ここに喧嘩しに来た」 危ないジィさんは笑えない冗談を平然と言ってる。 「歳なんだから、やめなよぉ。そぉーゆぅー冗談」 つーか、上でドンパチ勘弁です。 「いやいや。まだ若いもんには負けないよ」 「借金で困ってる子の前に、ジィさん狙ってるヤツらいっから」 齢67歳のジィさんがはしゃいでやがる。いい加減、自分の歳を考えて欲しい。 「で!その漢気小僧は今どこに?」 「今、死にかけてる。今のうちに自由に行けんぜ」 誰だ。ジィさんにこんな喧嘩の原因を与えたヤツは? 「その死にかけの人を恨らんどきます。借用書を貸せ!名前だけでも拝んどく」 こんな危険人物とつるんでる人とは、いったい…。 「あ…知ってる」
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加