優しくない雨

28/35
前へ
/74ページ
次へ
「落とすなよ!わりと高かったんだから!」 「落とさないよーだ!」 高いと言っても10万ちょい。漢なら給料三ヶ月分のやつにしようとしたら「見栄張るのやめて」と言われてあえなく断念。 「雨強いねぇー」 「雨宿りしてく?」 「いや、いいよ。お腹の赤ちゃんも寒いだろうし」 お腹を撫でて言った。すでに時刻は20時になっていた。 「バスに乗れれば良かったねぇ…」 「まぁな」 タッチの差で置いてかれて、面倒になって歩いて帰ることにした。どうせ次のバスには、家に着くと思ったのだった。 横断歩道の途中で。 「ひゃぁ」 はでに尻餅をつくカオリ。オイオイ。 「あはは。失敗失敗…」 お腹の子は大丈夫かぁ…。座りこんだ状態のまま右手を出すと。 「立てない」 はぁ…仕方ない。右手を引っ張ることになった。 「ほら立て!」 「えへへ… 鈍い音とともに右腕を残し姿を消した…。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

76人が本棚に入れています
本棚に追加