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「落とすなよ!わりと高かったんだから!」
「落とさないよーだ!」
高いと言っても10万ちょい。漢なら給料三ヶ月分のやつにしようとしたら「見栄張るのやめて」と言われてあえなく断念。
「雨強いねぇー」
「雨宿りしてく?」
「いや、いいよ。お腹の赤ちゃんも寒いだろうし」
お腹を撫でて言った。すでに時刻は20時になっていた。
「バスに乗れれば良かったねぇ…」
「まぁな」
タッチの差で置いてかれて、面倒になって歩いて帰ることにした。どうせ次のバスには、家に着くと思ったのだった。
横断歩道の途中で。
「ひゃぁ」
はでに尻餅をつくカオリ。オイオイ。
「あはは。失敗失敗…」
お腹の子は大丈夫かぁ…。座りこんだ状態のまま右手を出すと。
「立てない」
はぁ…仕方ない。右手を引っ張ることになった。
「ほら立て!」
「えへへ…
鈍い音とともに右腕を残し姿を消した…。
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