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あのアパートを出てから二週間しかたっていないのに、窓の外の一つ一つがやけに懐かしく感じられた。
線路沿いの、仕立て屋の古めかしい看板だとか、ちゃんこ屋の前にいつも立っている相撲取りの奇妙な人形だとか、ビルとビルに切り取られた微妙な角度の空のかたちとか。
世間は夏休みなのに、いや、夏休みだからか、私の降り立った駅もガランとしていた。
改札を出て、人気のない、どこかぐったりとした商店街の、くっきりと濃い影と日向をぬって歩き、ハイムひまわりを目指す。
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