ポスター

4/8
前へ
/61ページ
次へ
つまり、王冠姿のジミ・ヘンドリックスは19歳の時から5年間もずっと私の寝起きを見守ってきた事になる。 晴れの日も、雨の日も、熱烈な恋をしている時も、そんなに好きでもない相手を家に引っ張り込んできた時も、泣きながら卒業論文を書いた時も、冬樹と初めてキスした時も。 引っ越しのたびにそれを持ち歩いていたのには、ちゃんと意味がある。 彼の歌は一曲も知らないけれど、ドアップのジミ・ヘンドリックスがこっちを見ている、そのポスターは何となく私をやる気にさせるのだった。
/61ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加