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覚醒
次の日さっそく不思議な文章の中身を知りたくて高等学校の英語教師、古山健太郎にその文章を見てもらった。変わっている人で博識なくせに両耳にボディピアス、ヒゲを蓄えててとても先生らしくない風貌をしている。
性格は至ってマイペース、なにかしら興味をそそられる人だ。
「どうですか?」
孝志が滅多に見れない真剣な目をしている先生に話かける。
「うーん…これ何処で見つけたって言ったっけ?そうかそうか」
人の話を聞いているのかどうかすら怪しいがさっきから一人でブツブツと独り言を呟いている。
「先生、分かった事だけでいいから教えて下さいよ!」
いい加減焦れてきたのでそう切り出した。
「分かった分かった、この文章はフランス語で、オートマターについて書いてあるらしいね…」
「オートマター??」
「うん…しかしこれは偽物だよ、うん」
「もっと分かりやすく教えてもらえませんか」
イライラを隠さず孝志が言う
「えーと、オートマターって言うのはだよ、自動人形の事だね。昔のフランスで発明された禁断の人形の事だよ」
「自動人形?なんか気持悪いな…勝手に動く人形なんですか?」
「そうだね、悪魔の技術と言われた事もある。余りにも人間に近い高度な動きをしていたらしいという事なんだ。一説ではその人形は体温をもち、涙を流し、排便までしていたとまで言われているからね」
分からない事ばかりで唖然として聞いていた。
「でもね…これは本物ではないと思うんだよ…」
「何故ですか?」
「禁断の技術は昔、徹底的に宗教の弾圧を受けたんだ。人間が人間に近い物を作るという思想が許されなかったんだね…それともう一つ、見てごらん」
先生が指さした場所を見ると設計図の様な絵と読み取りづらいが日本語が書かれていた。
「これはね、日本人形を作る時の設計図なんだよ。だからオートマターの話をどこからか聞いた日本人形師がおそらくそれに近い物を作ろうと思ったんじゃないかと推測した訳だ」
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