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「失われた技術とは結局なんなんですか?」
「永久機関…何のエネルギーも必要としない技術の事だよ。極論だけど今生活に使っている電化製品は電気がなければ動かないよね?だけどこの技術を組み込めば電気すら要らなくなるんだ。」
「じゃあ、凄い発見じゃないですか!」
だから偽物だと分かっている設計図をあんなに真剣に見ていたのか。
「だけど、残念ながらこの設計図は永久機関を使っている人形を作る物で永久機関そのものの構造には何も触れてない。せめてこの人形が見付かればなぁ…」
そこまで詰らなそうに話を聞いていた孝志が急に立ち上がり
「もういいや…帰ろうぜ雄太」
何か急かすような感じで帰路を促す。
「つまらなかったかな?折角だからその設計図を借りてもいいかい?もっとちゃんと調べてみたいんだ」
孝志は簡単に同意して
「じゃあなんか面白い事があったら教えて下さい」
そういうと半ば強引に俺を外に連れだした。
「なんだよ、もっと話聞きたかったのに」
少し考えた素振りを見せて。
「もし…永久機関ってやつが見付かったらさ、凄いよな」
「そりゃ見付かったらな」
「………あるんだよ、あの人形」
ニヤニヤ笑いながらそう言った。
「何処に?」
「ちゃんと見なかったのか?ドールズ・ハウスの中にあの人形に似た物があったんだ」
土蔵の中はゴチャゴチャしてたし、沢山の人形が飾ってあったので記憶にはない。
「なんで先生に教えないんだ!」
驚きが勝りつい詰問口調になる。
「そんなに凄い物なんだぞ?発見者したのが俺達って事になったら有名になれるだろ」
呆れた…だが分からなくもない話だ。
ため息を付いていると。
「まだその人形かどうかも分からないしな。本物かどうか確かめてから相談しても遅くないだろ?」
一理ある。
とりあえず帰りにまたあの土蔵に寄る事となった。
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