◇ ① ◇

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「なんで止めるの!」 私は耐えきれなくなって聞いた。 「じゃあ、なんで殴るの?」 正論が返ってきた。 「もっともだ」 「有ちゃん!」 首だけ振り返ってにらむ。 「いたたたた。 ところで離してくれない?手」 右手を見ると、 奴の手首を思いっきり掴んでた。 「ヤダ!!あんた私の事コンソメって言った。 謝ってよ!」 うっすらと目に涙が浮かぶ。 くそぅー。 こんな事で泣くもんか。 「‥気にしてたんだ。その事。 なら、ごめん」 「‥‥‥‥」 あっさり謝るそいつに拍子抜け。 「もーいいよ」 掴んでた腕を振り投げる。 「ぃたたぁ」 奴に背を向けて涙を拭う。 「そんなに気にしてるなら頼めないなぁ、 どうしよう‥」 「何が?」 鼻をずずっと啜りながら聞いてみる。 「これこれ」 奴の手の中にコロコロと転がる色とりどりの中太い物体。 「何?」 「ゼリービーンズ」 「あぁ、私これ大好き」 横で有ちゃんが口を挟む。 「これが何か?」 「これのコンソメ味を作ろうかと思って‥」 コンソメの言葉を聞いただけで。 くるり、 逆方向向いて、猛ダッシュ。 .
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