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「待ってよ」
俺は反射的にその腕を掴んでいた。
彼女がビクッと揺れるが
こっちもビリッと電流が走る。
触れてしまった…
「なんですか?離して下さい!」
ハッキリと目が合うのは二回目。意外にも強気な瞳だった。
挑むような…負けないというような…
「あの、俺なんかしたかな。そしたら謝るから…帰って欲しくないんだけど」
自分ではないみたいな弱気な言葉だ。
だけど考えるより先に言葉が出てくる。
今はただ引き止めたい。
その一心だった。
普段の俺からは信じられない。
しかし、それ以上に驚くことをこの口は言い出すことになる。
「何もしてませんよ。離して下さい!」
心底迷惑そうに顔を歪める。
だけどどうしてもこの腕を離したくない。
しつこく引き止める。
「ちょっと、もう少し話したいし」
「なんでですか。何を話すんですか。」
ぐぐぐっと彼女も力を入れる。
それが分かるとこっちもさらに必死になってしまう。
「とにかく帰らないで!」
「なんでですか!?」
「好きだから!」
「「はっ?!」」
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