名前

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隆也に後ろから抱きつく形で、つまみのピーナッツを持ってきたのは店員の莉乃だった。 彼女はショートカットの髪がいやに色気がを醸し出す美人だ。 「なになに?なんの話~?」 隆也に絡んだまま、仕事中だというのに、ごく自然に話の中に入ってくる。 「隆也がフラれた話」 「うっそぉまじでぇ?」 からかうようにケラケラ笑い合う二人。心底楽しそうだ。 隆也はただ舌打ちをするのがせめてもの反抗だった。 それを見て莉乃が微笑む。 「やーん、かわいそうな隆也。莉乃がなぐさめてあげよっか?」 形のいい唇を歪めて、甘く囁く声が響く。 ふざけてるけど、半分本気。
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