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「莉乃…」
首に巻かれた腕をほどきながら、強く握って彼女の瞳を見る。
色っぽい視線が絡まった。
莉乃が期待すると
「…ダメだ~。もう俺帰るわ~」
そう力なく言うと立ち上がり、肩を落として帰ろうとする。
「え~なんでよぉ?今日、莉乃の家来ればいいのにぃ」
後ろで抗議してくる莉乃に
素っ気なく適当に「また今度」だけ言ってヒラヒラと手を振った。
「おい、こら忘れ物」
行く手をを阻むように
足の当たりに真っ直ぐなものが現れる。
松尾がズイッと差し出したのは水滴もすっかり乾いたピンク色の傘。
そう、あの子の物だ。
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