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「あ~いいよお前返しといて。アキちゃんと連絡取れるだろ」
あの子が店を飛び出した時席に忘れていた傘。
同じ大学の友達に渡せばすぐにあの子の手元に戻っただろう。
しかし、それを俺が返したい!と言って半ば強引に受け取って来た。
「なに言ってんだ。
自分で会う口実作ったくせに」
口実。
その通りだ。親切心なんてまるでない。
あるのはただ会いたいという下心だけ。
「そのつもりだったけど。もういいや。なんか変な女だし。気の迷いだったんだよ」
傘から目を反らし、帰ろうとするのに松尾が追い討ちをかけてる。
「逢って数分で告白したくせに」
「数分!?」
莉乃が驚く。
「だからこそ気の迷いだろ。
ノリだよノリ!」
「逢って数分で大嫌いって言われて落ち込んでんじゃん」
「大嫌い!?」
ヒドイ私の隆也に…というセリフは皆聞き流した。
「一目惚れだったんじゃねぇの?」
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