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その日、隆也は駅前に乱立する、学生が集まるチェーン店の居酒屋に居た。
ガヤガヤと騒がしい店内でヤル気なさげに隣に座る友人に話しかけた。
「おい、おまえ本当にイイコ来るんだろうな~。この前最悪だったじゃんか」
「大丈夫だって!
この前プリクラ見せてもらったら結構みんなイケてたし」
自信満々の友人に
(女のプリクラって詐欺多いだろうが…)
と心の中でツッコむ。
光の加減やら修正やらで何度騙され、何度目を疑ったことか。
「それにアキちゃんめちゃくちゃカワイイし」
「それって『アキちゃん』はカワイイってだけだろ?」
「カワイイ子の友達は皆カワイイ❤の法則」
(――んな訳ねぇ。)
隆也はだらしなく机に肘をついて隣の男を見る。
コイツ、松尾は高校からのツレで一番よくツルむ奴だ。
社交的な性格でいろんなサークルやら部活やらに顔を出しては
女の子と出逢い、フラれ、出逢い、フラれを繰り返している報われない男。
だけどそのたびに、おこぼれとしてコイツが狙った女が連れてくる友達を俺はもらったりしている。
――しかし、だ
この頃めっきり勝率が悪い。
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