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なんだ、なんだと
動揺しているのは自分一人で、話しは進行していく。
「じゃあみんなそっちの席座って~」
松尾が仕切る声が聞こえてきたけど、俺はバカみたいにボーとしながらその子の仕草一つ一つを見つめていた。
まず、顔見知りの松尾に挨拶をした。
――なんかむかつく
友達同士で顔を見合せて席を譲り合う。
――俺の近くに来い!と祈る
そして男たちに軽く挨拶。
――目が、合った…!
心臓がまた弾ける。
すると彼女は俺を見ると、さっきまでの緊張気味な笑顔が一瞬にして消え、ポカンと小さな口を開いたと思ったら今度は大きな瞳をさらに見開き、
ガッシャーン!!
と水滴のついた傘をハデに落とした。
皆が驚く中
あぁ、雨が降りだしたんだな。と俺はいらぬことを考えていた。
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