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戦火を逃れた 別天地に
風は心なごむ
澄んだ香 漂う小さな村
野花は咲き乱れ
緑もゆる 木々に
たわわに実る
無花果の甘き香
ひとりぼっちの 幼子の
懐かしき母の
それに似た香り漂う
無花果の甘き香・・・
父は戦争に 倒れ
兄は病で 1年前に
村に残る 幼子ひとり・
手を差し伸べて 毎日歌う早くこの手に
落ちてこい
たんたんと 落ちてこい
父さんのぶんも・・・
母さんのぶんも・・・
兄さんのぶんも・・・
あたいのぶんも・・・
たんたんと 落ちてこい
やがて 緑の風の中から
赤い雨が 降ってきた
幼子の手に 甘い香放つ
無花果ひとつ
赤く染まりつつ・・・
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