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「光太郎、いつまで入ってるの!早く学校にいきなさい!」
トイレで腹痛に悩む僕を急かせるのは、今年29歳になる母親の光恵だ。
母は、20歳のときに僕を産んだ。
いつでもどこでも元気満載、天真爛漫、純真無垢なこの母親のお陰で、僕は神経過敏に育った。
「わかってるよ・・・でも痛いんだから・・・」
脂汗が額に滲む。
「はいはい。光くんはユルユル王子だもんねー。 じゃあ、好きなだけ入ってればぁ?」
光恵は楽しそうに光太郎をからかう。
「ママ、声が大きいよ」
恥ずかしさが込み上げると同時に痛みが増す。
「由美ちゃんが迎えに来てるわよぉ。トイレ中って言っとこーかぁ?」
「え!出ます行きます! 」
僕は、一瞬痛みを忘れた。
トイレから出てランドセルを背負い玄関を出ると、そこには幼なじみの由美ちゃんがいた。
「あ、光くん。おはよー。ユルユル大丈夫?」
心配そうに覗き込む由美の大きな瞳に僕はドキドキした。
近所に住む由美ちゃんとは、赤ちゃんの頃からの幼なじみだ。
僕にとっては母親の次に身近な女性だ。
お母さんは,僕の嫁には由美ちゃんしかいないって言うけどそうなったら良いなって,実はこっそり思ってる。
「ははは・・・由美ちゃん、おはよう。ユルユルは・・・大丈夫さ・・・」
「そっか、じゃあ行こう」
僕たちは学校へと急いだ。
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