今日も緩いんです。

5/6
前へ
/6ページ
次へ
「えっとぉ、その人は、昔から良く知ってる人なんだけどぉ……最近,とっても気になるの。きっと,これが好きってことなのよ。」 少し照れながら話す由美を可愛らしいと思いつつ、ふと気づく。 (昔から知ってる人って・・・え!もしかして僕?) そんな都合良い訳がないと思いつつも、自分に違いないと思いたい気持ちが、どこかにあった。 精神的刺激。それも緩い方の。 鈍痛は、緩んだ気持ちを見逃さない。 (指令!もはや堪えられません!) (まだだ、目標まであと僅かだ!) (しかし、すでに危険水域に到達しつつあります! このままでは暴発してしまいます! ) (まだまだー!) 「……光くん? 光くん!なにさっきからブツブツ言ってんの?・・・顔色悪いよ、大丈夫?」 「ははは・・・頑張れ・・・決壊・・・ははは」 僕のお尻は、もはや限界だ。これ以上は保たない。学校まではあと少しなのに……。 僕が人間を止めようと絶望しかけたとき,背後から一台のバイクがやって来た。 「こーたろー!」 颯爽と現れたバイクは,光太郎の前でターンをすると、光太郎の抱えあげた。  光恵だった。 「由美ちゃん、悪い!光太郎借りるね。先生には上手く言っといて」 「はい、おば様♪」  意識を失いつつあった僕の瞳に,キラキラと瞳を輝かせる由美ちゃんが見えた。  光恵は、由美にウインクを決めると、猛ダッシュで自宅へと走り去って行った。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加