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微かな月明かりの晩なのに
暗くて寂しい晩なのに
光のような向日葵が
風に揺られて歌を奏でる
見慣れた景色が
微かな歌を手繰り寄せるように
静かにぼんやり流れてゆく
いつか来るべき時が来て
当然のことが起きただけ
だけど
その場に
その空気に触れるまでは
それは現実ではないんだよ
もう二度と瞬きをすることもない
ただじっと横たわっているだけの姿を
思い出す
それにしても
人間の生き死にのおかしさったら
まったくもって不思議だ
川のように
人生も流れ 流れて行くけど
終焉がどこなのか
気付いて人は死ぬのだろうか
二度と頭を撫でてくれることもない
皺だらけのごつごつでささくれ立った手
今はもう
一人から一体へとなってしまった私の祖父
その人生を勝手に思い巡らせるのは止めよう
私は私の人生を
ただ ひたすらに生きればいいのだから……
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