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赤ちゃんの時にパパは居なくなった。
私には最初から居ないのと一緒。
パパを見た記憶がないんだもん。
小さなアパートでママと二人。
私の記憶はそこから始まる。
嫌いなご飯で泣いた事。
同じアニメを繰り返し見た事。
お気に入りの服しか、着ようとしなくて困らせた事。
いつだってママと二人。
ママは私だけ見ていてくれた。
記憶にあるママは、いつだって私だけを見てる。
ママにはずっとお見合いの話しが来ていた。
最初は断っていたけど、国がくれるお金と貯金で暮らすには限界があった。
パートに出るには私を保育園に、預けないといけない。
保育園代はパート代より高い。
ママは私に聞いた。
「新しいパパ欲しい?」
新しいも古いもない。
私自身はパパなんて、知らないのだから。
「要らない」
本気でそう答えた。
パパって知らないおじちゃんでしょ?
他の家に居る、大人の男の人。
私とママのおうちに入って来るの?
お客さんが来たら、ママは私と遊んでくれない。
知らないおじちゃんがずっと居たら、ママはおじちゃんとお話しして遊んでくれなくなる。
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