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ーザッ‥ー
[伊勢谷(いせや)くん?] 昼休みの裏庭で、木に隠れるように、座っていた、俺。
誰にも、見つからないはずの、場所だったのが‥。
「栗原?」
俺に声をかけたのは、栗原瑛梨華。同じクラスの女子だ。
[あ、ごめん、起こした?]
肩辺りまでの、ストレートの茶髪が、風に揺れている。
俺を見つめる、瞳で吸い込まれそうな、薄い、蒼だ。
「いゃ、寝てねぇよ。気にすんな」
[そっか、よかった。]
俺が言うと、茶フレームの奥で、切れ長の目が優しく笑う。
「で、どうしたんだよ?」
[あ、雅也先輩が、伊勢谷を探してたから。]
嬉しそうに、笑った。
栗原は、持っていた、ファイルから、1枚の紙を取り出した。
[はい。今日の練習メニュー。各自で、メニューをこなしたら、後は、自由だって。]
「わりぃな、Thank You。」
[どういたしまして。]
俺が笑うと、栗原も笑う。
2人で、少し笑い合うと、俺は、"ある物"に気付いた。
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