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「それは?」
[ん?これ?]
「あぁ。それって‥。」
俺が差したのは、栗原の首を飾る、細いチェーン。
そこに、通してある、シンプルな、シルバーリング。
そう、確かあれは‥
[うん。雅也先輩に貰ったの。ペアリングなんだ。]
嬉しそうに言いながら、リングに触れる。
そうだ、思い出した、雅也先輩と同じ仕草だ。
先日、雅也先輩のリングを見付けた、俺たち(R陣)は、雅也先輩をからかった。
その時、雅也先輩は、今の栗原と同じように、リングに触れて、言った。 《とても、大切な物だ》と
「よかったな、幸せか?」
[もちろん❗]
‥無理だ💧。俺の気持ちを伝えることなんて、出来ない。
栗原の嬉しそうな、笑顔。
俺の気持ちは、栗原を困らせるだろう。
幸せそうな、あの、笑顔を、消すことなんてしたくない。
「おぃ。餞別だ。持っていけよ。」
俺は、ポケットから、小さめの箱を、取り出して、栗原に投げた。
うまく、受け取った、栗原は、首をかしげる。
[何?これ?]
「箱」[‥💧そうじゃくて、中身を聞いてるの]
「はは😅開けてみな?」
俺が、そういうと、栗原は、首をかしげたまま、おそる、おそる、箱を開けた。
‥別に、ビックリ箱じゃねぇよ😓
[えっ💥このピン‥]
中にあるのは、花をモチーフにした、ヘアピン。
ずっと、渡そうと思っていたものだった。
白を基調とした。それは、栗原の髪に良く、映える。
[いいの?貰って。]
「あぁ‥。」
[ありがとう。]
やはり、嬉しそうに笑う、栗原。 と、ポケットを探り始めた。
[これ、あげる、お返し。]
そう言って、差し出されたのは、黒いリストバンド。
中央には、白い糸で、ドクロが、刺繍されている。
「ありがとな。」
[どういたしまして。じゃあ、そろそろ行くね。]
「おぅ、Thank Youな。」
栗原は、バイバイと、手を振って、走っていく。
その先には、雅也先輩。
2人は、並んで歩きだす。
「"許されぬ恋をした。伝わらぬ、想い。届かぬ、想い。叶わぬ恋と、分かっていても、気持ちは、増してゆく"。」
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