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深夜4時44分。
普通なら小学生が起きていていい時間帯ではないのだが、タカシは起きていた。
別にたいした理由があった訳でもなくただトイレに行きたくなっただけなのだが。
「はあ、危ねぇもらすかと思った。」
用を足してスッキリしたタカシが再び眠りにつこうとトイレを離れ、自室へ戻ろうと廊下を歩いていると。
プルルルル……
電話が鳴った。
深夜の静かな空気が大きく揺れる。
父も母も起きてくる気配はなく、タカシは仕方なく受話器を握った。
時刻は4時44分。
取らなかった方が良かったのだ。
タカシが受話器を耳に当てた瞬間、
『ぎゃああああああ!!』
つんざく様な叫び声が向こう側から聞こえて、タカシは耳から受話器を離した。
「う……るさいなぁ。誰だよこんな夜中に。」
しばらく受話器を離したそのままの格好でいると、響いていた声も消え、静寂が戻ってきた。
タカシは改めてもう一度受話器を耳に当てようとして、この電話が変なことに気付いた。
真夜中の電話というだけでも十分常識的におかしいのだがもっとおかしなことに叫び声が聞こえたのだ。
最近人気の自分が死ぬ時の声が聞こえるとかいうやつだろうか。
それともSOS?様々な妄想が膨らんだがどれも頭を混ぜ返すばかりて埒があかない。
タカシは意を決して受話器の向こう側に声をかけた。
「……あの、もしもし?ど、どちら様でしょうか?」
恐怖のコールに対してなんとも間抜けな問いかけだが頭が回っていないので仕方がない。
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