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「なんだ。どきどきして損した。」
『ドキドキ?』
「出たら突然叫び声が聞こえるんだもん。着信アリかと思っちゃた。」
『あはは。アホやなぁ。それ携帯やないと掛けられへんで。』
馬鹿にされて腹は立ったがそれよりも聞きたいのはあのことだ。
「うるさい。ていうかさっきの叫び声、何?何かあったの?」
『あー……あれな、ちょっとうちのオカン今おかしいねん。ヒステリー起こして暴れてしもてな。そいでちょっと目ぇ離しとるうちにどっかに電話掛けよるわー思たら偶然にもタカシくんちやってん。こんな夜中にホンマ迷惑掛けてごめんな。』
そんなことかとタカシは思った。
アキラの母親が暴れるのは別に珍しいことじゃない。
「そうなんだ。まあ別にいいけど。トイレに起きちゃっただけだし。」
『なんや詰まらんなぁ。てっきり夜更かしで悪い子してるんかと思うたのに。期待はずれや。』
お前はどうなんだ、と言おうかと思ったがあまりにも無粋な気がしたのでやめておいた。
「ふふ、僕いい子だからそんなことしないよ。それより、お母さん大丈夫?」
『ああ、オカンなら今のびてるわ。』
タカシはアキラの言葉に少し違和感を覚えた。
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