CALLING

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次の日、登校中におばさんたちが井戸端会議をしていた。 そこまではいつもと変わらない日常だ。 しかし今日は内容が違った。 昨日の夜、アキラの家で一家心中があったらしいのだ。 殺したのは父親で、母親が夜のパートに出る前の三人が揃う時を狙って実行したらしい。 そのことにはもちろん驚いたが、もっと驚く事実があることにタカシは気付かされた。 アキラの母親がパートに出るのはだいたいいつも夜の9時半くらいだと聞いている。 そうするとアキラは9時より前に死んだことになり、時間が合わないのだ。 死んだ人間が電話をしてくるはずがない。 タカシは事実を確かめるために学校に急いだ。 学校に着くと、アキラの席の周りに人だかりができていた。 タカシは近くにいた女の子に声をかけて説明を求めた。 すると、女の子は興奮気味に話してきた。 「アキラくんの家一家心中しちゃったんだって!なんか部屋中血だらけで凄かったらしいの。あ、マサミちゃん聞いたー?」 女の子は友達が来たのを見付けて行ってしまった。 「アキラめ。ホントに驚かせやがって。」 空の上で笑っているだろう友人を思い、タカシは涙を堪えて精一杯の憎まれ口を吐いた。 「ああ、せっかく面白くなってきたのに、あいつがいないんじゃ詰まんねえ。」 呟きは空に消えていく。
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