心違い 彩音の場合

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全ての計画がうまく行っている… そう思うと彩音は、肌をジリジリと焼く太陽の日差しさえも心地よいと感じてしまう。 今年は5月だというのに、半袖で過ごすことができるおかしな気候だ。 絢音は、白い半袖のワンピースに薄いカーディガンをはおり、夏専用のサンダルを履くと小さいバックを肩へかけ、すぐに外へと出た。 (今日の夕飯何がたべたいかな…暑いから食欲が増すものがいいかな?) 心の中で恋人の顔を思い出すと、自然に顔が綻んでいることを彩音は、ガラス越しに自分の顔を見ることで気づく。 ニッコリと微笑んでみたり、手で髪型を直してみたりこれ程までに表情が変わる自分にフト驚く程だ。 好きな人を思いながら行う行為は、全てが輝いて見えるもの… 服を選ぶ自分、食べ物を選ぶ自分、好きな相手を喜ばせる為に女の性はフルに活動を行う。 普段は立ち寄りもしない商店街。 夕方にはまだ早い時間だというのに、買い物かごや袋を手に持ったおばさんが多くあるいている。 その中を歩く彩音の姿は、異質感を漂わせる。 頭の中には作る物が既に決まっていて、彩音は手短に材料を購入した。 家に戻る間に携帯を確認する。 いつもこの時間帯には、彼からの連絡がきて何時頃家に着くか知らせてくれるからだ… なのに…今日はおかしい。 1回も携帯が鳴らない。 いくら仕事中だからって…ご飯たべるのかくらい教えてよ… 少しだけ心の中で拗ねてみる。 彩音は心の声が口から微かにこぼれているのに気づくと少し照れたような顔をした。 恥ずかしい!なに独り言言ってるの…私 その独り言もさらに恥ずかしさを増やし足早に家へと帰らせた。 家に着くとドサッと買い物袋を机に置き、冷蔵庫から冷たく冷えた麦茶をだした。 コップにつぎ、一気に飲み干すと体中にこもっていた熱がいっきに引いていくのがわかった。
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