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帰りのHRが終わっても獄寺はまだ寝ていた。
「獄寺君・・。もう授業終わったよ。」
綱吉は獄寺の体を揺すりながら声をかける。
「・・・十・・代目?」
獄寺は目をこすりながら綱吉を見る。
「早く帰ろうよ。」
「はっ・・はい!」
綱吉は獄寺の机にかけてあった彼のカバンをとると、中からタバコの箱をだして、ばれないようにそれをわたす。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
綱吉はほほえみを浮かべながら獄寺に見えないようにさっきカバンの中から取り出したタバコの箱をポケットの中に入れる。
「十代目。さっきポケットの中に何いれたんすか?」
「えっ。・・シャープペンだけど・・」
綱吉は獄寺の質問に動揺してポケットをさわり、入れていたタバコの箱を落とす。
「十代目。これは・・。」
「ごめん。獄寺君の体か心配で・・」
綱吉は久しぶりに向けられた獄寺の強ばった表情に体を震わせる。
「十代目の心配はわかってます。でも・・」
綱吉は獄寺のその言葉に彼は涙を瞳にいっぱいためる。
「やめるのが大変なのはわかってる。獄寺君が早死にするなんてつらいよ。だから、今から少しづつ量を減らして・・」
綱吉は堪えきれない涙を流して獄寺を見つめる。
獄寺はそんな綱吉の目元を手の甲で拭う。
「十代目、泣かないでください。オレは十代目の最期を見届けるまで死にません」
「獄・・寺くん」
綱吉はその言葉に安心したように無理矢理笑う。
「十代目の言ったとおりなるべく量を減らします。」
「ありがとう」
獄寺の小さな戦いはここから始まった。
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