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「お父さん、お母さん。あたし、19になったよ…」
朝、家事と着替えを終えた早紀は、仏壇の写真に手を合わせていた。
前日、実(みのる)に迎えに行くまで待っているように言われた為、早紀はこうして、実が来るのを待っていた。
ピーンポーン
「あっ、実(みのる)かな?」
早紀は立ち上がり、玄関の扉を開けた。
「お迎えに参りました、お嬢様?」
目の前に現れた実(みのる)は、右手を差し出しながら、そんな事を言った。
「…お嬢様なんて、似ても似つかないよ。…ちょっと待ってて。」
もう一度、部屋の戸締まりを確認しながら、早紀も言い返した。
「じゃあ、姫様にしようか?」
「…何なの?」
戸締まりを済ませた早紀が、靴を履き外へ出てきた。
「お嬢様とか姫様とか、意味わかんない。…クロロ、行ってくるね!」
クロロに声をかけ、鍵を閉めると、下へ降りた。
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