誕生日~早紀~

5/29
前へ
/920ページ
次へ
「お父さん、お母さん。あたし、19になったよ…」 朝、家事と着替えを終えた早紀は、仏壇の写真に手を合わせていた。 前日、実(みのる)に迎えに行くまで待っているように言われた為、早紀はこうして、実が来るのを待っていた。 ピーンポーン 「あっ、実(みのる)かな?」 早紀は立ち上がり、玄関の扉を開けた。 「お迎えに参りました、お嬢様?」 目の前に現れた実(みのる)は、右手を差し出しながら、そんな事を言った。 「…お嬢様なんて、似ても似つかないよ。…ちょっと待ってて。」 もう一度、部屋の戸締まりを確認しながら、早紀も言い返した。 「じゃあ、姫様にしようか?」 「…何なの?」 戸締まりを済ませた早紀が、靴を履き外へ出てきた。 「お嬢様とか姫様とか、意味わかんない。…クロロ、行ってくるね!」 クロロに声をかけ、鍵を閉めると、下へ降りた。 .
/920ページ

最初のコメントを投稿しよう!

717人が本棚に入れています
本棚に追加