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入園式で見たミユと同じ歳の子供達。
それを祝福に来たビデオ撮影に没頭する父親達と、セレブを意識したファッションに身を包む母親達。
精一杯のおしゃれをしたはずのミユと希望だったが、周囲の者には、生活レベルの差が目に見えてわかった。
母親としての希望。
この思い出を収めてあげる為のビデオカメラもない。
ビデオカメラを借りられる知人もいない。
コンビニで買った撮りっきりカメラのファインダーから、娘の晴れ姿を見つめるだけだった。
希望は、そこに集った者達からの劣視にも近い視線に気づいていたが、そんな事はすでに慣れっこになっていた。
でも、そんな大人達の目に気づかず、また、気にもせず、生まれて初めてオシャレができた事が、嬉しくて嬉しくてたまらないミユの笑顔を見るのは、
健気で、
親の不憫さを感じ、
希望は涙した。
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