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別れた孝雄のことを、嫌いになったわけではなかった。
むしろ愛情は、その3年間で更に大きなものになっていた。
孝雄は自分の両親に、一度は結婚の話しを涙ながらに訴えてくれた。
認められない結婚ではあったが、その姿が希望にはうれしかった。
ミユに絵本を読み聞かせながら、一緒にうとうとしてしまう時などは、決まって孝雄の夢を見た。
三人で仲良く海や山に出かける夢を何度も見た。
孝雄と希望は、中学の頃からの知り合いだったが、お互いが18歳の時に再開し、恋人の関係となった。
孝雄は工業系の大学生で、彼女は大学近くのラーメン店で働いていた。
つきあってすぐに妊娠。
大学生の孝雄は彼の両親に妊娠させてしまったことを告げた。
孝雄の両親は「中絶」の一言。
だが、孝雄も希望も産むことを決めた。
それは孝雄の両親には秘密だった。
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