無情の砂漠

2/6
前へ
/59ページ
次へ
A.D.2045 大規模なゲリラ掃討作戦の為各国の軍はこぞって中東近隣に武力を送った 後に第7次中東戦争と言われる戦いの幕開けである 陸上自衛隊第56師団はアラビア海を横切りシリア上空にさしかかっていた 『みかさ』内ではパイロット達が慌ただしく駆けずり回っている この機体には10機の試作M.Aが搭載されている 1人1人が乗り込みヘルメットを装着する 勿論丈もその内の1人だ コクピットに乗り込みハッチをしめて主電源を入れる 落下ポイント上空 一寸木 「よし!落下ポイントに到達した 空輸機のハッチを開け 降下開始!」 『みかさ』の後部ハッチが開かれ格納庫内に風の音が響く 頭上に点灯しているシグナルが青に変わると一機また一機と降下し始めた 丈の機体がハッチぎりぎりの場所に立つ 下を見ると雲の隙間に褐色の大地が見えた 丈 (…行くか…) この下に一度降りたら無事に帰れる保証はない 丈は覚悟を決め空輸機の底を蹴った 落下とほぼ同時にランドセルのパラシュートを開く 周りを見ると戦車部隊や他のM.A部隊も次々と落下して行くのが見えた 褐色の大地は近づくに連れそこが岩と砂の砂漠である事がわかる 砂塵が舞い着地するM.Aの両脚が砂の大地にのめり込む 丈は着地しバランスを崩しかけたM.Aを必死に立て直す ここに新設のM.A部隊は適さない 元の戦車部隊などの方がよほど局地に適している 丈は舌打ちをした (よりによってM.A部隊の初陣が砂漠とはな…いくら局地戦闘用だからと言ってこの砂の海じゃ…) 続いて戒丸一等陸曹の機体が砂の海に脚をつけた 彼の機体は砂に脚をとられそのまま倒れこんでしまう 戒丸 「くそっこの砂じゃ…シミュレーションじゃこんなの無かったぞ」 幸い彼らの落下地点は実際の戦場とは少し離れた場所だった為攻撃の的になることはなかった 丈の機体ともう一機増川三等陸尉の機体が戒丸機を立ち上げるサポートに立つ 体勢を立て直した10機の小隊は最前線であるシリアの都市スワイダーを目指す この街はヨルダン国境近くの大都市でシリアに取っては南方の最重要拠点の一つであった
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加