ドッペルゲンガー

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気のせいだ。 ぱっと見似てる人なんていくらでもいる。 ドアが閉まり、電車が走り出す。 俺はずっと窓から流れる景色を見ていた。 外が暗くなってきたため、俺の向かいに座っている女子高生が窓に写っている。 ずっとケータイをいじっているが、よく酔わないな・・・ 結局女子高生は一度も顔を上げることなく1区間を過ごした。 駅に着くと、ボックス席からドア寄りにある2人がけの席の人が立ち上がった。 若い女の子だ。 黒くてまっすぐな髪。 きっとストレートパーマがかけられているのだろう。 女の子は電車を降りると、ゆっくりと俺の目の前に来た。 俺は思わず2人の顔を見比べる。 髪型はもちろん、ほっぺたのホクロまで同じだ。 女の子は俺には目もくれず女子高生を見つめている。 やがて電車が走り出した。 女の子は一瞬だけ俺と目を合わせ、ニヤリと笑った。
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