神は決して許さない

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男がそれに気付いたのはしばらく経ってからだった。 仕事をしていると、ふと辺りが静かなことに気付いた。 すぐ近くには大きな道路があるから常に車の通る音が聞こえるはずなのだが、全く聞こえない。 1日に何度も来るはずの取引先からの電話も、さっきから1回もない。 ところで今何時なのだろうと時計を見ると、さっきから全く進んでいないではないか。 仕事ばかりの生活に虚しさを感じて、時間を止めて好きなことをしたいと思ったあの時。 まさか、本当に時間が止まったのか? いや、時計の電池がなくなっただけだ。 そんなことがあるはずがない。
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