ドッペルゲンガー

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数駅を通過し、サラリーマンが降りていった。 入れ替わりにまた男が座る。 ケータイからふと顔を上げてぎょっとした。 今降りていったサラリーマンと同じ顔、同じ髪型。 スーツではなくTシャツを着ている。 隣にいるおばちゃんと目が合った。 おばちゃんも気付いたようだ。 「ね、あなた、さっきの人と双子なの?」 おばちゃんが恐る恐る男に尋ねる。 男はキョトンとしながら「え?違いますけど?」と答えた。 俺とおばちゃんは再び目を合わせると、おばちゃんは笑いながらフォローした。 「あら、違ったの。さっき似た人がいたから、ごめんなさいね、うふふ」 それからしばらく無言になった。
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