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--------周りは暗闇ばかり。
一人の少女はそこに何かをするわけでも無く、ただ存在していた。
その暗闇の中に見つけたのは、赤い紐にぶら下がった金色の鈴。
少女はゆっくりとその鈴を見た。
鈴は段々近づいてくる。
すると急に弧を描いた口が見えた。
体は黒いマントで覆われていた。
その黒マントが口を開いた。
「ようこそ。不思議の国へ。」
黒マントの声は意外と若い青年の声だった。少女と年が近いようだ。
少女は首を傾げた。
「不思議の……国?」
その少女の言葉に、黒マントは頷いた。
「僕はチェシャネコ。君に、お願いがあるんだ。」
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