恋は焦らず

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恋は焦らず

 君を抱くことはなかった。  友人だとちゃんと割り切り、例え二人きりで僕の部屋でじゃれようと君を抱くことは出来なかった。只君を失うことや仲の良い仲間たちを思うと小さな集団という繋がりしかない君を抱くという欲望は鎮火された。  僕は君を恋愛ではなく欲望の捌け口として見つめていた。君を思いながらするマスターベーションは最高にいけたし。初めて君を部屋にあげる前日なんかは最高に興奮した。  しかし君は僕の掌が君の髪を撫でると気持ちよさげに体重を預けてしまい、丸で恋人が甘えるかのようにした。僕は苦悩した。  君は僕を誘っていたのだろうか。  僕はもしもそうでなかった場合や、仲間を裏切ることを思い躊躇いながらも止まった。  僕は君を抱きたかった。  その日から君が欲望から恋愛の対象に変わってしまった。不思議な話である。抱けもしない君を想う不毛な恋はあの日から膨らみ続けている。
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