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日も沈み闇が街を支配し始める時間。外れにある一軒のアパートの階段を駆け上がる足音が鳴り響く。
「ミナ!?ミナ!!?大丈夫か!?」
ドアを乱暴に開けてそうぞうしくこの家の主が顔色も悪く帰宅した。
「あなた!?どうしたのそんなに慌てて」
そうぞうしい夫をたしなめるように言いながら双子の赤ん坊を寝かし付けていた妻が顔を上げる。
「ハァ、ハァ……よかった……無事か……」
息も切々に家族の安全を確認するとその場に座りこんでしまった。
「本当にどうしたんですか、何かあったの?」
不思議そうに首を傾げる妻に夫は思い出したように慌てだした。
「そ……そうだ……実は研究室にこんな手紙が……」
妻がその手紙を受け取り中を見ると妻は驚くでもなく、文章を読み上げた。
息子よ、これからもその女と人生を共にするというのならこちらにも考えがある
二週間やろう、その間に戻ってこないのなら暗殺者を送りお前の子供を殺す
妻はその手紙を机の上に置き、赤ん坊の頭を撫でながら夫に話し始めた。
「実は、私の両親からも来たのよ……手紙、そこにね、『暗殺者が送られた、早く家へ帰ってこい!』って」夫はそれを聞くと愕然とした。
「居場所が知れた!?……まさか、そんなことが……」
「嘘ではないみたい……。ここ2、3日殺気に近いものを感じていたから……」
夫はこんな時でも妻の武道家の能力に関心する自分のふがいなさに苛立ちを覚えた。
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