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その男は両国で古着屋を営んでいる、河口屋春吉と名乗ったそうだ。
実際にお良が調べてみると河口屋は実在したのだ。
主人の人相風体も一致した。
目つきの悪い男達が河口屋の裏口から出入りしているのも突き止めた。
盗人宿に間違いない様だ。
その夜遅くに英太郎は町医者、齋藤光西の家に来ていた。
光西は剣術の腕は医術よりも長けていた。請け負い人の一人たのだ。
唐手もかなり使う男である。
英太郎が先生、仕事ですぜと夜中に訪ねて来て後から来る二人を待っていたのだ。
一人は、お良と言う髪結いを生業としている女である。
もう一人は担ぎ屋の晃次郎、一度に米俵五俵を担ぐ怪力である。
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