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目の前の人混みがやっと開けた。開けた先には、机に座る女性教師。
「入学おめでとう
合格通知をみせて下さい」
聖母のように微笑むその人物に合格通知を手渡す。
女性は合格通知を数十秒程度みた後、それを再びこちらに返した。
「それを持って
あちらの先生についていって」
あちら、と手で示された方向には眼鏡を掛けた若い男性教師。
合格通知を片手にその男性に近付くと、男性は『こっちだよ』とだけ言って歩きだす。
男性の背中を追う鷹。
建ち並ぶ校舎を素通りし、校内の奥にと先導される。
何処に連れてかれるんだ
半ば不安な気持ちを抑え
しっかりとついて歩く。
不安も限界
この人に訊こう
と決心した矢先に、男性は立ち止まる。
「あれが校舎だ」
男性の背後から少しずれて、男性の示した世界をみる。
圧巻……
先ほどまでの校舎も見事だったが、目の前の校舎の方が素晴らしいのは明白。
「ス…スッゲエエぇ!!」
「あ…ちょっと」
鷹は思わず教師を抜き去り、素晴らしい校舎の前に広がる庭にと足を踏み入れる。
その時鷹には
男性教師の言葉など耳に入っていなかった。
少年のように庭を駆け回る。
浮かれはしゃいでいた鷹では気付かなかった。
足元の『穴』に
ズボッ…
「へ……?」
地面を感じていた筈の足の裏に、突如その感覚を失う。
瞬間ーー
眼前の景色は飛んでいく
上に上に
正確には『落ちている』鷹の目線が飛ぶように下にいっている。
「な…なな…っ#◆●※!!?」
最早言葉にすらならない
奇声を発し、鷹の姿は暗い穴の奥深くにと消えてしまった。
「マズい!!」
そんな光景を全てみていた男性教師は、手を自分の前に翳す。
すると淡い光が結集し始め、その光はやがて一冊の本となる。
辞書並みに分厚いその本を開き、男性教師はその本に言葉を発する。
「中央庭園から
男子生徒が1人落下。
おそらく行き先はー
『地下室』」
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