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「それ以外に良い言葉が見つからないんだ。長い言葉を言ったところで、キザになったり安っぽくなったりする。」
圭輔は少し苦々しい顔をしながら頭を掻いた
あの頃と変わらない背格好
尋ねた事はないが、きっとジムなどに行き、体型を気にかけているのだろう
今ではスーツが一番似合う気さえする
まだすねた様子の圭輔に、私は満面の笑みを浮かべてなだめる
「別にその言葉に不満がある訳じゃないのよ。今年もその言葉が聞けた、と思ってるんだから。私にとっては1年に一度の、最高の安定剤みたいなものなのよ。」
私は自分のシャンパングラスを顔の高さまで持っていき、既にテーブルクロスの上で落ち着いている圭輔のグラスにもう一度当てた
「メリークリスマス」
「…メリークリスマス」
圭輔は半分疑っているような、半分嬉しそうな笑顔で答えた
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