10人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
一真:お茶でも飲んで落ち着きなさい。
お茶を煎れて司に差し出す。
司:はい…。
ブルブル…ガタガタ…。
手が震えて上手く飲めない。
一真:やれやれ…まあ気持ちはわかるけどね。
司:やはり一真さんも同じように?
一真:うむ…今の司君と同じだよ…オロオロするだけだった…父上に怒られてしまったよ…「これから一条を背負い、跡取りを育てなければならないのになんて樣だ!」ってね。
一真は肩をすくめる。
司:玄馬殿に…流石は父親ですね。
一真:後から聞いたら父上も私が産まれる時、同じようにオロオロするだけだったみたいだけどね。
司:あははは…出産の時、男性は駄目ですね。
二人して溜息をつき、俯きながらお茶を啜る。
司:その父上の話はどなたから?
一真:早乙女の鈴さんだ、今は私の義理の母のね。
司:あぁ~成る程、それなら不思議はありませんね。
一真:当時は仲が悪くてね~私も骨が折れたよ。
司:結婚まで随分と波乱だったそうですね、まるでお芝居のように。
一真:恥ずかしいからその話はやめにしよう。
司:聞かせて下さいよ。
軽く綱引き状態。
最初のコメントを投稿しよう!