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助けにいくとは言ったものの、何の情報も無いまま突入するのは危なすぎるので、斥候を出してある程度相手の様子を伺っておこうということになった。この場にいるのは五人。いついかなる時においても冷静沈着に対応できるリーダー、鋼の如き守りを持つA、どんな相手も打ち倒す豪腕のB、素早い動きで敵を翻弄するC、そして、
「リーダー、ここは俺が… 」
たいした取り柄のない俺だ。他のみんなが安全に救助できるように俺が囮になったほうがいいだろう。そう思ったんだけど
「いや、オレが行くよ 」
Cが割って入ってきた。
「お前のことだから余計な気遣いをしたんだろうけどさ、助ける人数が増える俺たちの気にもなってくれよ? 」
ニヒルな笑みを浮かべながら俺の考えを言い当てたC。そして真剣な顔に戻りリーダーに向き直るC。
「そういうわけでオレが探りに行ってきます 」
リーダーは少し眉を動かし、言った。
「あぁ、わかった……C、通信機をつけていけ。常に連絡を取り合おう 」
「はい、わかりました。」
「そして無理は禁物だ。危ないと思ったらすぐに逃げろ、わかったな 」
「なに、大丈夫です、オレの速度に付いてこれるヤツなんていません。必ずや情報を掴んで帰ってきます 」
リーダーの言葉に自信たっぷりに応えるC。そして俺たちの方を見てちど頷いた後、「魔法の館」に歩いていった。
「魔法の館」の前に着いたであろうCから通信が入る。
『リーダー、入り口に着きました。今から突入してきます 』
「わかった。任せたぞ、C 」
俺たちは場所を移動したからCを見守ることは出来ない。俺たちに出来るのはCが情報を掴んで無事に戻って来ることを祈る、それだけだ。ガチャ…通信機を通じてCが扉を開けたのがわかった。いらっしゃいませーと言う女の声が聞こえる。聞き耳を立てる俺たち。
『すまない、ここには客としてき……なにっ……メイド……』
Cの声が途切れた。
「C? おいC、返事しろ 」
リーダーの問いかけに返ってくるのはザァ…というノイズのみ。
Cは相手の手に落ちた。
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