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ピンポーン……ピンポーン……
もう何度目かわからない呼び出し音が鳴り響く。かれこれ数十分も居留守を続けているというのに一向に諦める様子が無い。
ピンポーン……ピンポーン……
一定の間隔を空けて鳴り続ける音に観念して出てこいと言われているような気さえしてきた。いい加減に出ていったほうがいいのだろうか、でもそうすると今までじっとしていた意味がなくなる。
ピンポーン……ピンポーン……
もう諦めて出たほうがいいのだろうか。こんなに長い間呼び鈴を押し続けるのは何かと世話を焼いてくるあいつくらいだろうし……同じくらいに悪戯もしてくるが。僕のことを心配して来ているのなら悪いな……そう思って玄関に向かおうとした時、
ピンポーン…………
鳴り続けていた音が止んだ。あいつが僕を心配して来ている時は何時までも鳴らし続ける(前に熱で寝込んだときに延々呼び鈴を押し続けられた)から……
(悪戯かな……)
他の人だったとは考えないでおく。誰が来ても今日は会う気がおきなかった。
ピンポーン……ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ
インターホンの向こう側の人間はよほどの暇人に違いない。違いないが、
「連打はないだろっ 」
僕の足は玄関のほうへ進んでいく。誰にも会いたくないという気持ちに変わりはないが文句の一つでも言わないと気が済まなかった。ドアに手をかけ、開ける。
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