「にゃう」「狐」「提灯」

2/6
前へ
/21ページ
次へ
「ひろってください」 目の前の大きな段ボール箱にはそう書かれていた。 ……うん。小説やゲームじゃよくある展開だな。こういうのはたいてい中から愛くるしい小猫が「にゃう」って鳴きながら顔を覗かせてたり、可愛らしい女の子が箱の縁を掴みながらこっちをじっと見つめてきたりして、拾ったら拾ったでそのことを聞きつけたこれはまたかわゆい女の子達が現れてフラグ連立のハーレムになったりするんだよ……小説やゲームならな。 改めて目の前の段ボール箱を見てみる。かなり大きい。人が余裕で入れる大きさだ。 中にかわいい小猫や女の子がいたら俺はどうするんだろうか、やっぱり拾って帰るのかな……ん? 「ちょっと待て」 いたら?俺は何を言っているんだ、そこにはかわいい(以下略)がいる…… 「逆さま…だと…」 これはおかしい。逆さまはおかしい。どこぞの蛇じゃあるまいし。 「かわゆい小猫入ってるならなんとしても助けないと……」 けどこれに入ってるのが人だったら 「あれか、ひげもじゃのオッサンが変な宗教の勧誘してくるパターンか」 それは絶対にやだ。 「でももし猫だったら……むぅ」 「にゃあ」 ん?なんか猫の鳴き声っぽいのが聞こえたな。 「にゃあ」
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加