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明かりを探しに行くとは言ったものの
「どこを見て廻ればいいんだ?」
「さぁ…?何処かにあるんじゃない?」
「……どんな形なんだ?その明かりは」
「…さぁ…?とりあえず大きいものがいいの」
「手がかりなしかよ…」
この自称猫、使えない。今もなんかうどん屋のショーウインドウを覗いてきつねうどん食べたいとか言ってるし……絶対こいつ狐だろ。
それにしても今日も暑い。太陽は俺をピンポイントで狙ってんじゃなかろうか。
「なぁ、こんこん」
「こんっ……なんでそんな呼び方なのよっ」
「だってあんたの名前知らんし狐だろ。それでなこんこん」
「狐じゃないっ。こんこん言うなっ」
「今昼だよな?」
「話を聞けっ。……え?えぇ、たしかにお昼ね」
肩で息をしながら答えるこんこんが、それがどうしたのとでも言いたげな目で見てくる。いちいちかわいいなおい
「だろ?今は昼だ。つまりは明かりなんて太陽以外あるわけがないだろうと言いたいんだが……おいこんこんなんで睨んでくるんだ」
「なんでもっと早くに言ってくれなかったの?」
「いや、俺も今気づいたんだよ。こんこんも言ってこなかったじゃん」
「朝から待ってた意味ないじゃないのばかっ」
えぇ…なぜ逆ギレ
「お詫びとして何かアタシに奢りなさいっ」
ずびしぃ!と指差す先にはさっきのうどん屋
「なんで俺が」
「食べたいからに決まってるじゃない」
「だからなんで俺が……っ?」
手を握ってきやがった。突然のことに戸惑う俺をこんこんはうどん屋に引っ張っていく。
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