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「ありがとうございましたー」
外はすっかり暗くなっていた。
「ごちそうさまー」
礼を言うこんこんの顔は幸せそうだ。予想通りというか、こんこんはきつねうどん(油揚げ多め)を何杯も頼んだんだが
「……油揚げだけ食べるってどうなんだよ」
うどんは一口も食べようとしなかったんだ。店員の視線が怖かったから俺が食べたんけど…四杯でギブアップした。さすがに店員からも心配された。
「だって好きなんだもん」
「いや、好きだからって」
「好きだからいいっじゃない」
にこにこ笑うこんこん。
「ねえねえ、あれ見てよっ」
何かを指差しながら言うこんこん
「……んぁー?」
変な生返事をあげながらこんこんがいう指すほうを見てみると
「おぉ…?今日って祭だっけ?」
「いや、アタシが聞きたいんだけど…」
綿菓子、いか焼き、胡瓜、射的…いろいろな屋台が大通りの先まで並んでいる。電柱には提灯がついていて、その明かりが道のようにも見える。
「綺麗だねー」
「だな……これなら探しもの、見つかりそうか?」
「……かな。うん、見てまわろ?」
そう言ったこんこんは何処か悲しげだった。その理由も解決法も俺にはわかるわけもなかったけど
「じゃあこんこんっ、屋台見ながら探そうぜっ」
「だからこんこん言うなっ、私はきつねじゃないっ」
笑わせたいなと、そう思った。
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