第一章

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そんなこんなで俺はお城に連行されました。 男の子助けたお礼でもくれんのかなっておもったんだ。 でも甘かった。非常に甘かった。 「お前が先程少年を助けたという青年か」 わ、偉そう!………って当たり前か。王様だもんな。 「多分、そうです」 うん、だって俺も途中でヤバかったし。 「名は何と言う?」 「ゲイル・コルトレーンです。」 そうか、と王様は椅子に座り直す。 立派な顎髭を手でなでつけながら何か考えているみたいだった。 不意に側近らしき人が口を開く。 「その少年を助けた際、召喚魔法を使ったらしいな」 へ?召喚魔法ってアレ? 本でしか読んだ事ないんですケド… 俺がドギマギしてると、王様の頭上にスクリーンが下りてきた。 「これはあの川に設置されていた監視カメラの映像だ」 映像が映し出される。 男の子の帽子は風で飛んで川に。男の子は慌てて追い掛けたけど届かない。手とか足を岸部から伸ばすけど届かない。 その辺に落ちてた棒を使って取ろうとした。 そしたら案の定川の中へ。 そこに俺が登場。 川に飛び込んで少年を抱えて岸部に行く。でも高くて届かない。 そう、ここで声が聞こえたんだ。 俺が叫ぶ。水面が揺らめき、俺達を水で出来た女性が岸部に押し上げた。 へぇ、こうなってたんだ。あれ、本当に俺がやったことなん? すんません、全くもって自覚がありません。声が聞こえただけですから。 側近の人が耳打ちしてます。何だか嫌な予感がします。 「もう一度やってみて貰おう」 ほら来たぁ!! 王様が指を鳴らす。 あ、やっぱこうなるんだ? ここには水ないですよ?水降ってくんの?あ、タライか? ガコン うん、嫌な音だね。嫌な… 落ちる?俺落ちるね?落ちるっぽいね、足下床ないし。お… 「落ちてるぅぅぅぅ!?」 そっちかぁぁぁ!! 予想はしてた!してたけど考えないようにしてた! だって俺飛び込みの選手じゃないしそんな華麗に着地もとい着水なんて出来ませんから! 王様の馬鹿ぁぁぁ!!(大丈夫、思ってるだけだから) 取り敢えずは空中でバタバタしてみる。頭から落ちないように。 ドッパァァン!! ケツから落ちました。痛い…。 {もう一度召喚してみよ} 放送で王様の声が聞こえる。 ん~、何も不思議な感覚とか無いしなぁ…。 王様の見間違い!…とかは無いか。 ゴボゴボゴボ 変な音してますよ? 顔をつけて水中を確認。 「……………!?」 何アレ!? イカ!?大王イカ!?無理無理無理!!
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